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風は地球を駆け巡る
重力に縛られず、姿を自由に変えながら
木々をなぎ倒し激しく吹き荒れる風
穏やかで暖かい春の風
凍てつく凍土に吹きすさぶ風



少し不器用で肌を刺すような
重太郎が出会ったのはそんな風だった
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「うん、どうやらし、心配するまでもな、なかったようだね?おめ、おめでとう」
「………ぁぅ。」

遡る事数時間、目の前の少女、月森来夢からある相談を受けた。
もっとも相談といっても、背中をただ押しただけ。
答えは既に彼女の中に有った。

耳まで真っ赤になって戻ってきた彼女を見れば、結果は聞くまでもなかった。

「き、君は幸せにおなり、だ。」

そっと頭に手を置こうとすると
来夢はこちらの顔を睨みつけてくる。
真っ赤な顔では、とても睨んでいるようには見えないが。

「………よ…余計な、お世話ですっ!!」

顔を真っ赤にしたまま、来夢は水月を目掛けて正拳突き放つ。

「お、おおっと、ごめんね。そ、そこは「彼」せ、専用だね。」

表情は一切変えず、ただそう言うだけで、来夢の拳からへなへなと力が抜けていく。
もう赤くなっていない部分を探す方が難しいだろう。

「…ぁぅ。」
「わ、私には叶わない願いか、かもしれないし、ね。」

そう言わせるは自嘲か不安か。

「…大丈夫、志摩さんが…いる。」

穏やかな風がふわりと吹く。

風は自由で気ままだが決して孤独ではない。
気候、地形、吹く場所があって初めて風はその表情を変える。

「うん そ、そうだね…ありがとう。さて、それでは私はこ、この辺でし、失礼するよ。
ゆっくりと「彼」との時間を楽しんでおいで。」


季節外れの穏やかな風の余韻を楽しみながら、その場を後にする。
ふと振り向くと風はもう、吹くべき場所へと吹き始めていた。

―成る程、後輩を見守るのも先輩の醍醐味、か―

顔を真っ赤にしたまま「彼」のもとへと向う後輩、その後ろ姿を見ていると
優しい微笑みと共にそんな考えがよぎった。
 

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