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薄暗い部屋の中
次から次へと思考が飛んでいく
同時に全身の感覚が研ぎ澄まされていくのが解る

部屋では時計の音が正確に時間を刻んでいる
体内では心臓の音が正確に生命を刻んでいる

体の周囲を包む空気の流れ 体の内側を巡る血液の流れ
そういったものまではっきりと感じられる
あぁ…いつもくる感覚、どうやら今夜も眠れそうにない
目ははっきりと冴えているというのに、意識だけが深く潜っていく
深く深く、どこまでも深く…


黒賀の過去話になります。もしかしたら一部アンオフィな部分もあるかもしれませんが
ご容赦ください


月明かりすらない夜、やがて来るゴーストを待ち構えていた
いつもの様に息を殺し夜の闇へ溶け込んでいく
自分の存在を消す事には慣れている


友人と呼べる友人も居なく、クラスに馴染もうとはしなかった
元々人見知りも激しかった 吃音のせいもある
自分とは正反対の性格を持つ弟に対するコンプレックスもあった
しかし一番の原因はいつの頃からか感じていた「違い」であった
具体的に何が違うかは解らない漠然とした「違い」ではあるが
その存在は、はっきりと感じられた

クラスメイトも両親も、それに双子の弟さえも
自分とは何かが違う―それが人と触れ合う事に対して臆病にさせてきた
その違いが誰かに知られてしまう事を恐れ、他人と関わらないようにしてきた
息を潜め、自分の存在を消し、必死に隠してきた
一人は苦しい、けれど「違い」を知られ拒絶されるのはもっと苦しい

漠然とした「違い」それが何か解ったのは中2の夏だった
蟲の力の覚醒、そして深い絶望
その力は自分の命しか救ってはくれなかった
迫り来る死神の鎌から弟を救ってはくれなかった
温もりが消えていく弟の体を、ただ黙って見ているしかなかった

あなただけでも助かってよかった、母はそう言ってくれたが
その顔に笑顔は戻らず、弟の写真を見ては涙を流す
「どうして…」
母はそこで言葉を呑み込んだが、その時の母の目を一生忘れる事はないだろう
―どうして、あなたなの―
もう、居場所はどこにも無かった

長くなってしまったので2回に分けます
 

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